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不動産を活用した相続税対策

  • 文責:所長 税理士 鳥光翼
  • 最終更新日:2022年7月26日

1 不動産を利用した相続税の減額

遺産を相続する場合には、土地などの不動産が相続財産の中で大きなウェイトを占めるケースもありえます。

相続税の申告をするにあたっては、様々な特例を利用することで土地の評価額を抑え、納付しなければならない相続税の金額を減額することができる場合があります。

ここでは、不動産を相続した際に利用できる特例について紹介します。

2 小規模宅地等の特例を利用した相続税対策

⑴ 特例の概要

小規模宅地等の特例は、被相続人が所有していた土地の評価額を下げることで、相続税算定の基礎となる課税価格を低減し、結果として相続税額を軽減できるという制度です。

では、具体的には、どのような土地に対し、どのような条件を満たした場合に小規模宅地等の特例が活用でき、相続税を低減できるのかについて説明します。

⑵ 小規模宅地等の特例が適用される相続人の種類

被相続人が所有していた自宅土地を、以下のいずれかの相続人が取得した場合に適用されます。

  1. ①被相続人の配偶者
  2. ②被相続人と同居していた相続人
  3. ③被相続人に配偶者も同居していた相続人もいなかった場合、相続開始前3年間賃貸住宅に住んでいた相続人

⑶ 小規模宅地等の特例が適用される土地の範囲

適用される土地の範囲には制限があります。

自宅土地のうち、330㎡まで適用されますので、約100坪に適用されることになります。

特例が適用されることで、土地の評価額は最大で80%減額できますので、非常に高い節税効果があります。

なお、330㎡を超えた部分は、通常の相続税評価額として計算します。

仮に被相続人の自宅土地が330㎡以内で、通常の評価額が1億円であった場合、その80%にあたる8000万円が減額されるので、評価額は2000万円になります。

3 特定事業用宅地等の特例

⑴ 特例の概要

特定事業用宅地等の特例とは、小規模宅地等の特例の一種で、亡くなった方が個人で事業を営んでいた場合の事業用の土地が最大で80%評価減される制度です。

⑵ 被相続人が事業で使っていた土地

被相続人が工場や事務所を営んでいた場合に利用できる可能性があります。

具体的には、以下の場合に適用されます。

  1. ①被相続人が所有していた土地の上に被相続人所有の建物があること
  2. ②被相続人が上記①の建物で事業を営んでおり、相続税申告期限(相続開始から10か月)まで事業用の土地として使用していること

適用範囲は事業に使用していた土地の400㎡までの部分です。

評価額は80%減額できますので、これも大きな節税効果が見込めます。

400㎡を超えた部分は通常の評価となります。

4 貸付事業用宅地等の特例

貸付事業用宅地等の特例とは、亡くなった方が土地を賃貸アパートや貸駐車場として活用していたり、自身がオーナーとなっている同族企業に貸し出して事業に使用している場合に適用される、小規模宅地等の特例の一種です。

事業用の土地と同様、相続税申告期限(相続開始から10か月)まで貸し出していなければ適用されません。

適用範囲は、貸し出していた土地のうち200㎡まで評価額を50%減額できますが、200㎡を超えた部分は通常の評価となります。

5 固定資産の交換特例と小規模宅地の特例を組み合わせた相続税対策

⑴ 固定資産の交換特例の概要

個人が、土地や建物などの固定資産を、同じ種類の固定資産と交換した場合、不動産譲渡に対する課税を繰り延べる(次に売却等により譲渡するまで課税されない)特例があります。

⑵ 交換特例の要件

固定資産の交換の特例の適用を受けるためには、次の全ての要件を満たす必要があります。

  1. ①交換により譲渡される資産、取得する資産がいずれも固定資産であること
  2. ②①で交換される固定資産が同じ種類の資産であること
  3. ③交換により譲渡される資産、交換により取得する資産が、いずれも1年以上所有されていたものであること
  4. ④交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること
  5. ⑤交換により譲渡する資産の時価と、取得する資産の時価との差額が、いずれか高い方の価額の2割以内であること

⑶ 小規模宅地等の特例と組み合わせる

そして、上記要件を満たして不動産交換に対する課税の免除を受けた上で、小規模宅地等の特例を組み合わせることにより、相続税の節税が可能となります。

小規模宅地等の特例は、適用できる面積に上限がありますので、同じ価値の土地であれば、小さいほど節税効果が見込めます。

そこで、地方の広い土地と、都心の狭い土地を交換するという手法を用います。

親が地方の1000㎡の自宅土地を持っていて、子が都心の200㎡の自宅土地を所有していたとします。

価格はいずれも5000万円であるとします。

上記の状態のままですと、親の土地のうち330㎡部分までしか評価額80%減は適用されないので、小規模宅地等の特例を用いても相続税評価額は3670万円程度となります。

一方、子の土地と交換すると、200㎡すべてが評価額80%減となりますので、相続税評価額は1000万円となります。

6 土地の評価減を利用した相続税対策

相続税は、相続財産の評価額を基礎にして計算されます。

評価額を下げることができれば、相続税も低減できます。

相続税計算の際、土地は路線価または倍率方式という計算方法を用いて評価されます。

この計算方法は、時価よりも約2割低い金額とされます。

例えば、1億円の土地は8000万円と評価されます。

つまり、現金1億円を持っている場合、そのままであれば相続税評価額は1億円となるところ、1億円の土地に換えることで相続税評価額を8000万円に下げることができます。

その結果、相続税額を低減することができるのです。

7 土地の上に自己名義の賃貸アパートを建てることで相続税対策

土地と建物、両方について節税効果が見込めます。

⑴ まず、土地については、賃貸されている建物が建つことで「貸家建付地」という扱いになります。

「貸家建付地」となった場合、借地権割合と借家権割合という数字を掛け合わせた分だけ土地の評価額を減らすことができます。

借地権は70%または60%、借家権は30%ですので、少なくとも60%×30%=18%減額することができます。

⑵ 次に、建物についてです。

賃貸物件に限らず、建物の評価は、固定資産評価額となります。

固定資産評価額は、取得価格の約7割程度です。

そのため、5000万円の現金で建物を建てることで、相続税評価額が3500万円程度になります。

建物が賃貸物件である場合は、さらに借家権30%を減額することができます。

したがって、合計50%程度評価額を減らすことができます。

8 土地の上に他人名義の賃貸アパートを建てることで相続税対策

土地を他人に貸し、その他人が賃貸アパートを建てれば、4の場合と同じく土地は「貸家建付地」となり、評価額を減らすことができます。

しかし、注意が必要な点が一つあります。

貸家建付地として評価され、借地権分の減額を受けるためには、地代や権利金を設定して貸し出さなければなりません。

無償あるいは固定資産税等相当額の負担のみで土地を貸した場合、使用貸借とみなされ、借地権が認められません。

最も典型的なケースとしては、親の土地の上に子が賃貸物件を建てる場合が挙げられます。

親が土地の賃料を受け取らずに子に土地を貸す(使用貸借)ことがよくありますが、このような場合には土地の評価を下げることができません。

9 不動産を活用した相続税対策は税理士法人心 柏税理士事務所にご相談を

不動産を用いることで相続税を大幅に減額できることもありますが、適用要件は複雑であり、専門的な検討と判断が必要です。

税理士法人心 柏税理士事務所には、相続税申告の経験豊富な税理士が在籍し、相続税対策にお悩みの方の相談を受け付けております。

税理士法人心 柏税理士事務所は、JR常磐線および東武アーバンパークラインの柏駅北口から徒歩約2分の場所に事務所を設け、相続税にお悩みの方をお待ちしております。

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